こどもたちに読ませたい本シリーズ① ”賭けの考え方”

人間が生まれてから死ぬまでに絶対に「避けては通れないもの」とはなんだろう？

その「避けては通れないもの」は無数にあり、数える事は不可能だ。

「避けては通れないもの」は一瞬にしてあなたを天国へも地獄へも連れて行く。

「避けては通れないもの」は年齢や世代を問わず、ある時はゆるやかに

ある時は突然目の前に現れる・・・

「避けては通れないもの」の名を『選択』と呼ぶ

大人だからといって、賢い選択をするとは限らない。

最悪の選択にも関わらず、自分にとって最高の選択だと

勘違いして一生後悔するはめになるかもしれない。

今すぐしなければいけなかった選択を怠り、

2度とその選択が出来なくなってしまった事があるかもしれない。

正しい選択をしようと考え過ぎてしまい、最高のタイミングを

逃してしまうかもしれない。

なにげない選択がその後の人生を大きく左右するかもしれない。

上の例え、大人なら身につまされる様な思い出があるだろう。

仮に間違った選択をしてしまったとしても、軌道修正しながら

正しい選択にたどり着くことが出来ればいいと考える人もいるだろう。

それはそれでその通りなのだが、致命的な選択ミスを犯してしまい

そのリカバリーが出来ないまま短い人生を終えてしまう事もある。

だが将来、数々の重要な選択をしなければならなくなる

こどもたちが今のうちに「選択」に関する基本的な考え方を

身につけておく事が出来るなら、それに越したことはない。

と言う事で、

こどもたちに読ませたい本の第一弾は↓

賭けの考え方(カジノブックシリーズ)

イアン・テイラー、マシュー・ヒルガー著

出版社：パンローリング

賭けの考え方 (カジノブックシリーズ)

本書はポーカー戦略本のカジノブックシリーズのうちの一冊である。

こどもに「賭け」の本なんて！と拒否反応を示される方は、

もう本人の頭の硬直化が始まっていると思っていい。

日常生活の中で、より良い「選択」をする行為と

賭けに勝利する為に、より良い「選択」をする行為の

どちらの方が結果への真剣度が高まるだろうか？

もちろん後者だろう。

ランチの店選びで迷う場面と

たった一回の選択ミスで大金を失う場面を考えて欲しい。

「賭けの考え方」は日常生活にも確実に応用出来る。

本書は「考え方」の本なので、他のポーカー教則本のように

カードの手札に応じた戦略を解説している訳ではない。

あくまでも「常日頃から心得ておくべき基本的な考え方」を

詳細に解説している。

とはいえ、本書で定義される賭けの考え方は以下のたった7つだけ。

・さまざまな現実を理解し受け入れる
・長期的視野でプレイする
・金儲けよりも正しい決断を下すことを優先させる
・金への執着を捨てる
・自尊心を持ち込まない
・あらゆる感情を決断から排除する
・分析と改善のサイクルを継続的に繰り返す

本書は上記7つの賭けの考え方を基本にしながら、ポーカーテーブル上で

起こるさまざまな場面を想定し、それに対する適切な思考法を提起する。

ここまででも、非常にレベルの高い自己啓発書並みの価値があるのだが

本書が凄いのは単なるポーカー解説本として最後に終わらないところだ。

最終章　ポーカーと人生　ではさらに一歩踏み込んだ提起がなされる。

”ポーカーの人生と実生活を分けるようにするというのは、

片方で学んだことをもう片方で適用してはならないということではない〈中略〉

ポーカーテーブルで学んだことを実生活で生かすことはできないものだろうか〈中略〉

多くの場合で、それは可能だ。

ポーカーテーブルで学ぶ教訓には実生活の状況に強く関連しているものもある。

ポーカーの世界は、実世界の過酷で残酷なバージョンだといえる。

我々が社会で与えられているような安全地帯は、ポーカーにはない。

全ての最適でない決断、全てのミス、全ての筋の通らない考え、

そして全ての勘違いは、ポーカーテーブルでは命取りになる〈中略〉

そしてそれらのミスや誤解は、常にあなた自身のせいだ。

それをごまかすことはできない。

単に自分をごまかしているにすぎないからだ〈中略〉

結果として、経験豊富なプレイヤーには世界を非常に明晰な視点で、

幻想をすっかり排除したうえで、とらえている人が多い。

ポーカーを上手くプレイするために求められる問題処理能力は、

ほかの人生でもぜひとも生かすべきだ。”

10章５節ポーカーから学べることは？より抜粋

そして7つの「賭けの考え方」を「よりよい人生を送るための考え方」にまで

昇華させている↓

• 人と世の中のさまざまな現実を理解し受け入れる
• 長期的視野で生きる
• 正しい結果を得ることよりも正しい決断を下すことを優先させる
• 想定内のリスクを恐れない
• 自尊心を家から持ち出さない
• 感情ではなく論理に従って行動する
• 自己啓発のサイクルを習慣づけよ

こどもたちには確かに難しい内容かもしれない。

だが一刻も早く本書に触れ、そのエッセンスを吸収するだけでも

人生の大きな飛躍に役立つ事間違いなしだ。

もし自分にこどもがいたら、真っ先に買い与えたい本である