人生ゲーム
年末のクリスマス商戦により増税で冷え込んだ市場は「一時的」だが活況を呈している。
とはいえクリスマスなどのイベント事とは人生のほとんどの期間を無縁で過ごしている
自分にとって、街のおもちゃ売り場に寄る事はほとんどない。
が、実は以前は勤務先の販路拡大で本格的におもちゃを売る仕事に携わっていた。
当時はおもちゃ売り場の整備・販売に加え、東京のおもちゃ問屋街に定期的に直接仕入
れに出向いていた事もあり、現在でもある程度の知識は持っている。
12月のクリスマス直前の平日、暇つぶしも兼ねて近所のトイザらスに出向いて年末の客層の動向や人気商品の在庫状況、店内の展示スペースの規模などを久しぶりに業界目線で見てみる事にしてみた。
当日は客数も少なく自分が子供時代に感じたクリスマス直前の街のおもちゃ屋さん
のキラキラした輝きや熱気のようなものは一切感じられない。
せいぜい任天堂スイッチのコーナーに人がまばらにいた程度。
現代ではスマホのゲームがほとんどの子供たちの2つの目をすっかり奪ってしまってい
るようだ。また今人気のおもちゃは全て品切れ状態らしい。となれば購入ルートはネッ
トオークションかプレミア価格がついた個人取引になり、おもちゃ屋に来る理由はさら
になくなる。
閑散とした店内をざっと流し見て帰る前に、ふと「人生ゲーム」がまだ現役でいる事を
微笑ましく思いながら妄想にふける。
10数年前にプレイステーション版の人生ゲームをプレイしたのが最後だから、ボードゲーム版をやったのはいったいいつまで遡ることだろう。
一瞬、人生ゲームを久しぶりにやりたいと思ったので買ってみようかと思ったが
思い直した。なぜならボードゲームのプレイ人数は大概最低2人からなので1人では基本
的にはプレイできないのだ。
1人でルーレットを回して落語みたいに違うキャラを演じながらやるという変則的な事
もできない事はないのだがw、それはあまりにも虚しすぎる光景だ。
ふと、人生を対戦ゲームとして捉えるのではなく協力ゲームとして捉えてみると、不思議と同時にプレイする人数は2人から4人ぐらいの中で収まるように感じた。
配偶者・恋人、友人か相棒、ビジネスパートナー、子供1人〜2人などなど・・・・
そう考えてみると人生ゲームの箱書きにある「2人〜4人用 6才以上向き」という文言はかなり深い意味を帯びているように思えた。
ところで、ウォーレン・バフェットはよく車を使った例え話をする。
もし私が君たち一人ひとりに
好きな車を買い与えると言ったとしよう
うれしいだろ(笑)?
色も選んでいい
リボンをつけて明日には家に届けよう
ただし一つだけ条件がある
君は選んだ車に一生乗り続けなければならない
生涯、その車以外は乗れないんだ
そうと知れば、君はその車を大事にするだろう
私が言いたいのは
車は買い換えられるが
肉体と精神は替えがきかない
君たちは与えられた肉体と精神を
一生、運転し続けるんだ
人生ゲームのコマ フロントの特徴的な造形からどうもポルシェがモチーフのようだ
さて、ウォーレン・バフェットのように自分の肉体と精神を一台のクルマとみなすな
ら、あなたはその車の同乗者にはいったいどんな人を選ぶだろう?
セダンなら4人乗りが普通で数もおおよそ推奨プレイ人数にぴったりだ。
バフェットを真似るなら、同乗者も一度決めたら二度と変える事は出来ないことにして
人生の同乗者の人数は自分を入れて2人から4人までとしてみる。
慎重に選ぶ?タイミングがいい時に選ぶ?それとも吟味して選ぶ?
よく考えてみてほしい。
人生の早いうちから、素晴らしい同乗者に出会うことに勝る幸運はないと
思う。実際、以前ブログで記事にしたが億万長者の実に90%は既婚だ。
結婚した者同士の信頼関係によって人生のあらゆる場面に相乗効果を生むのは理にかな
っている。
ところが今の日本は自分も含めた生涯未婚者と呼ばれる層が増える一方で衰える気配は一向になく、特に男性は驚異的な速度で独身化が進んでいる。
人生を人生ゲームとして捉えるなら、同乗者はいる事に越した事はない。
億万長者たちを参考例にしても、成功確率は実際に高まるだろう。
だが・・
ウッディ・アレンの名作、”ミッドナイト・イン・パリ”で主人公は価値観の合わない婚
約者とその両親とのパリ旅行を通じて、本当に自分が求めていたものを知る事になる。
そして彼は旅の最後に”ある選択”をすることになるのだが・・・。
ウォーレン・バフェットの言う通り、自分の肉体と精神は一生に一台だけの替えのきか
ない車に似ている。とするなら、その大切な車を共有する同乗者の選別だけは絶
対に手を抜いてはいけないはずだ。
そう考えてみると、適当に選んだ同乗者とのつまらない道中が続いてゴールするより同
乗者不在の気ままな道中も悪い話ではないように思えてくる。
まあ少なくとも、自分のこのブログ記事のようなトイザらスで一瞬浮かんだ妄想にしば
らくは付き合ってくれるような心の広い方でないと同乗は無理だろう。
日本の生涯独身率はまだまだ下がりそうにない。