エクスポネンシャルライフ

青空と緑、ドライブとグルメ、別荘と小径

0勝0敗

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可もなく不可もない普通の人生を生きていくと言うのなら、その時の流れに身をまかせ

逆らわずに生きていくのが楽に違いないし安全な道だろう。

 

実際このスタイルで生きている人たちが最も多いように感じる。

 

ただし、この世界で秀でよう、成功しよう、もっともっと上を目指そうと思うなら、

少なくとも自分の強みはしっかりと理解しておかなければいけないだろう。

 

もしくは当人が自分の強みに気づいていなくても、周りがその強みを最大限に発揮でき

るような環境を整えてあげる事は必須のように思える。

 

新しい家を建てる時に、最も重要な基礎工事・土台の部分が人間でいうところの

「強み」になるのではないだろうか。

 

ところがその「強み」が仮に見つかったとしてもそれが成功に繋がらない場合がある事

を最近改めて知る機会があった。

 

長野県のJリーグチーム松本山雅FCは昨年のJ2優勝を受け今年J1リーグ

に2度目の復帰を果たしたが、2019年シーズンは全18チーム中17位という結果に終わり

前回と同様にJ2リーグに自動降格という形でシーズンを終えた。

 

降格の原因として酷いボロ負けが多かったり、選手のやる気のなさが目立ったりするの

なら、降格は当たり前の事と捉えられるのだが実際にはその逆で、シーズンを通して

選手たちはよくやったと思えるような内容の試合ばかりだった。

 

以下にJ1全34試合終了時点の松本山雅FCの試合結果を列挙してみる。

 

J1 18チーム 全34試合

勝利             6    (18位)最下位

引き分け    13 (同1位)

負け           15 (同9位)

得点           21 (同18位)最下位

失点           40 (同11位)

得失点差   -19 (同14位)

平均得点    0.6   (同18位)最下位

平均失点    1.2   (同11位)

 

対戦相手が必ず1チームは存在するという事とたった34試合しかないゲームを

人生という長いスパンのゲームと比較するのは乱暴だとは思うが

参考になる部分もあると思うのでお付き合いいただきたい。

 

上記の数字を見てみると、はっきりと分かる事がある。

 

負けない、では物足りない

 

得点数がダントツ最下位である事が響いて、勝利数も最下位。

勝ち数と得点数は見事に相関している。

 

問題は全34試合のうち4割近くが引き分けなのだ。(引き分け数1位)

 

サッカーは攻撃と守備のバランスが破綻すれば、大量失点に繋がる。

 

攻撃的過ぎれば守備がおろそかになりやすいし、

守備的になり過ぎれば、防戦一方で疲弊しやすくもちろん試合に勝つ事は出来ない。

 

松本山雅FCは昇格チームでありながら、資金力が豊富なJ1の攻撃力を

合格点以上のレベルで抑えたといってもいいと思う。

 

選手全員の戦術理解度と組織力、試合終了まで球を追い続ける走力・体力が

活かされ、松本山雅は確かに「守備力」という強みを持ってはいた。

 

たった1点が勝敗を決めるサッカーにおいて高い守備力は長いシーズンに

渡って大きな武器となる。

 

実際に負け数9位・失点数11位は立派な数字で、これだけなら余裕で残留チームレベル

だ。内容的にほぼ90分間防戦一方の試合もあったろうが、それでも負けない試合運びを

していたように思う。

 

ところが、勝ちでも負けでもないグレーな引き分けがあまりにも多い為に

結果、得点も多いが失点も多い「粗いチーム」の後塵を拝する事になった。

 

緻密に構築した戦略や戦術や選手個々の体力やテクニック等のあらゆる要素も

1点の重みには及ばないという結果だ。

( ちなみに松本山雅FCの引き分けた13試合の内、2試合をそれぞれ1点ずつ入れて勝利していればJ1に残留していた計算になる。)

 

ちょっと視点を変えて、人生全体をひとつの試合と捉えてみると

果たして「引き分け人生」の人たちがかなり多いように見受けられる。

 

自陣に下がって、相手の攻撃をたゆまぬ努力をもってして受け止める。

狙いは勝ちではなく勝ち点1をもぎ取る「引き分け狙い」の人生。

 

引き分けの勝ち点1を積み上げて、人生を最後まで逃げ切ろうという戦略。

 

ところが、成功者たちは違う戦略を持って人生に臨んでいるように思える。

 

順位の激しい浮き沈みや、大量失点のリスクも計算に入れながら自らの強みを最大限活

かして常に攻撃的な試合運びをする。

 

一勝九敗 (新潮文庫)

一勝九敗 (新潮文庫)

  • 作者:柳井 正
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/04/01
  • メディア: 文庫
 

 

ユニクロ創業者 柳井 正さんのベストセラー「一勝九敗」。

 

柳井さんの順風満帆にも見えるビジネスもせいぜい一勝九敗くらいのものだろうという

深い意味が込められた題名である。

 

自分が大きく一つ勘違いしていた事がある。

 

自分はてっきり生きていれば勝負の機会は何回かは自動的に来る、そのうち一回でも勝

ちを拾えれば良いのだと思っていた。それは大きな勘違いだった。

 

人生にはサッカーのように対戦相手がはっきりと決まった日程は存在しない。

 

自らが何に対して挑戦をするのか、日時や場所を意図的に組み込まない限り

勝ち負けも発生しない。

 

普通の人たちは挑戦の機会を人生に組み込まないので、大きな成功も失敗も経験しない

まま0勝0敗で人生を終える事になる。

 

松本山雅FCは今年本当に頑張った。

 

が、引き分けを重ねた結果勝ちを拾えず来年J2に降格する事になった。

来年はまたJ1昇格の挑戦の1年になるだろう。

長年松本山雅を率いてきた監督も退任し、厳しい戦いが予想される。

 

だが、自分たちに攻撃力が足りない事実はしっかりとフィードバックされて

新たな戦術を模索し試行錯誤する事になるだろう。

今後の大きな飛躍に繋がるキーワードを得た形だ。

 

ひるがえって自分や成功を願う人たちはどうだろう?

引き分けどころか、そもそも挑戦自体しているのだろうか?

 

負けない、では物足りない。

でもその前に挑戦する機会を自ら作り出さなければいけない。