エクスポネンシャルライフ

青空と緑、ドライブとグルメ、別荘と小径

近所に高校野球を見にいってみた(下)

野球をプレーするのは苦手だが、野球というスポーツ自体は嫌いにならなかった。

むしろ、大好きなスポーツだ。

野球に関してはかなり深掘りしてお話も出来るが、今回は割愛させていただく。

 

ちなみに、高校入学時にこの子へ送った本はバッティング本の名著とされる↓

今度はピッチングの名著でも送ろうかw

 

朝、いきなり叔母から電話で孫が近くの球場で試合をするという情報をもらい

来てみたはいいものの、果たして観る価値があるのかわからなかったのだが

S(親戚の子)が先発ピッチャーだという事で、観る意欲ががぜん湧いてきた。

 

だが、相手は全国にも名前の通った地元の甲子園出場常連校。

本来なら自分はこちらの応援をするべきところなのだろうが、

人間最後は血族・血縁であるw

Sの高校を応援全力で応援することにした。

 

実はSにも父親がいない。

 

Sの幼少期にやむを得ない事情があって、両親が円満に婚姻を解消したのだ。

本当にやむを得ない事情だったので、今でも他の姉妹と共に父親とは

頻繁に会って交流しているらしい。

よかった!

 

またSの祖父や叔父が元は学生野球の選手だったり、少年野球のコーチを

したりしていたのでスポーツを通じてさまざまな学びを得ていたようで

自分のような「父性不足」には全くならなかったように思う。

 

とはいえ、彼の真剣なプレーを観るのは今回が初めてだし

対戦相手は名門強豪校。

 

勝敗うんぬんよりも、彼がどんな男なのか?

追い込まれた時にどんな態度を見せるのか?

そちらに注視して試合を観ていこうと決めた。

 

1回表、Sのウォーミングアップの投球を観ていると

Sに拍手と声援を送っている男がすぐ近くに座っていた・・・

 

Sの父親だった(爆)

 

「まさかすぐ隣にいるとは気づかなかったよ〜w

お久しぶり〜」

「あっ、どうもお久しぶりですw」

「てか、10何年ぶりじゃない会うのw」

「あいつが*歳の時ですから、そうですよね〜」

 

当時と同じ快活な笑顔が印象的なSの父親がまさにそこに座っていた。

 

観戦しながらいろいろ聞いてみると、Sの試合には遠方でも出来るだけ

出かけて観に行くようにしているらしい。

他にも色々と彼の相談に乗ったりしてあげているとの事だ。

 

それを聞いて、しばし胸が熱くなった。

彼の過去の試合中、常に遠くから見守る父親や家族の存在があったのだ。

f:id:mrnancy:20190810221447j:plainPhoto by Sebastián León Prado on Unsplash

 

ピッチャーはマウンドで孤独な闘いを強いられる。

 

監督やコーチ、周りで守備を固める選手たちからの叱咤激励も

結局はピッチャーが投球を始めなければ試合そのものが成立しないのだ。

 

本人がどのような状態でも一切関係なく、敵のバッターに対して、

「もしかしたら打たれるかもしれない」ボールを投げ続けなくてはならないのだ。

 

「僕は打たれたくないから、そもそも投げないよ」

 

という逃げる理屈が通らない厳しいポジションなのだ。

 

Sの父親もその厳しくも野球の醍醐味そのものを体現する

ピッチャーというポジションに自分の息子が就いている凄さを

感じているようだった。

 

結論からいうと試合には負けた。

 

だが、彼の投球には「一切」逃げの姿勢は感じられなかった。

 

デッドボールを相手の腿に2回ぶつけてしまったのだが

内角低めの厳しいコースを狙っていった結果だと思うし、

ヒットを打たれても、素早いカバーリングを終始続けていたし

傍目からみても精神的ダメージでがっくり肩を落としているような

態度もまったく無かった。

 

正直に言うと、一つだけ。

出塁ランナーに対して牽制を1回しかしていなかった。

相手の足を止める為にいやらしいくらい牽制をしてもよかったと思う。

ピッチャーのランナーに対する嫌がらせというのは

ちょっと極端な言い方かもしれないのだが・・・

 

Sはとても優しいイイ奴なのでそういう「駆け引き」が嫌いなのか

得意ではないのか、牽制はあきらかに少なかった。

これには彼の父親も同意見だった。

 

この日、何十年も前に少年野球での失敗から結果逃げた男が、

相手がとてつもない強豪校でどんなに長打を打たれても怯まずに投げ続けた

Sの勇姿とSをどんな事があっても見守り続ける彼の父親を見て

 

「俺も孤独にめげず、また何かをがんばってみるか」

 

と心を新たに決意した日になった。

 

Sよ、ありがとう!